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インタビュー:茨城大学工学部の教授たちの挑戦
 
 
 
CRYPTO
国際会議CRYPTOとEurocryptの論文集
 
  第二次世界大戦後、暗号はコンピュータによって製作される一方、コンピュータを利用して解読されてきました。コンピュータは当初、非常に高価なもので、政府や軍関係だけが使っていましたが、60年代になると性能が向上し、価格も下がり、一般企業も使うようになりました。特にアメリカでは商取引で使用され、コンピュータの「標準化」という要望がでてきたわけです。
  そこで米政府は、76年、「DES暗号」というのを標準化しました。標準というからには、暗号を公開しないといけません。そこでアルゴリズムは公開し、鍵を秘密にする「共通鍵暗号」という方式がとられ、送信者と受信者だけが鍵を共有していました。
 
  さらにもっと革新的な変化は、アルゴリズムだけでなく鍵も公開してしまうという「公開鍵暗号」の概念の登場です。77年に誕生した「RSA暗号」が、初の公開鍵暗号です。これを機に、デジタル署名、電子現金、など新しい概念が次々でてきて、現代暗号はコンピュータ科学における一大分野に成長しました。
  これを契機にそれまで技法だった暗号が学問になり、学会で議論されるようになりました。サイエンスの光が当たるようになったわけですね。
 
  一方、DES暗号は99年、ディープ・クラックという専用マシンにより解読され、DES暗号はアメリカの標準から外されました。たった25万ドルで開発されたマシンが、わずか22時間でDES暗号を破ってしまった。
  それで、米政府は次世代暗号を公募し、決定に至るまでの全プロセスをウェブ上で公開しました。最終的には2001年、ベルギーで開発された「ランディール」に決定し、「AES暗号」が誕生しました。
 
  米政府はAES暗号の標準化を機に、新しい認証コードを公募しました。従来は「CBC-MAC」が広く使われていましたが、これは簡単に偽造されてしまう。偽造できないことが証明されていてかつ効率のよい認証コードがほしいという公募に対し、6件の方式が提案され、最終的に採用されたのが、現在名古屋大学の准教授である岩田哲君と私が開発した「CMAC」です。日本の情報セキュリティが米政府に採用されたのは、これが初めてです。
 
  アメリカの暗号標準はたいてい世界の標準になるので、世界各国でCMACが使われるのは時間の問題です。既にIEEE(*1)で標準化され、現在ISO(*2)で規格化が検討されています。またWindowsのXPでも使われているほか、IBMやインテル、松下、ソニー、東芝など世界の大企業がつくる著作権保護技術の団体も、CMACの採用を決定しています。

(*1) the Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.: 米国の電気電子学会
(*2) International Organization for Standardization: 国際標準化機構
証書
世界で最も権威の高い紳士録「WHO’S WHO(サイエンス&エンジニアリング部門)」にも選ばれた
 
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