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インタビュー:茨城大学工学部の教授たちの挑戦
 
 
 
「人工心臓」の研究開発について教えてください。
 
研究室   人工心臓の中でも、私が行っているのは「磁気浮上型」の人工心臓です。磁気浮上型のメリットは、接触する部分がないことですね。多くの機械は動くたびにどこか擦れる部分があり、発熱の原因になったり、機械の耐久性を決めてしまう。
  人工心臓は、羽根車がくるくる回って血液を循環させるのですが、その羽根車に擦れる部分があると、その間に入り込んだ血液が溶血(血液破壊)してしまうんです。つまり、血液中の赤血球が壊れ、ヘモグロビンが運べなくなり、結果的に酸欠を引き起こしてしまう。そうならないように羽根車を浮かせて回すのが、この磁気浮上型の人工心臓です。磁気を利用して浮かせているので、擦れ合う部分がないんです。
 
  どんな人工臓器でもそうですが、人の体に埋め込むので、そう簡単にメンテナンスができない。故障すれば生命にも関わるわけで、耐久性は非常に重要な問題です。
  また、人の体の中に埋め込むわけですから、ある程度小さくて、周囲の組織にやさしくなければいけない。また、機械が動くことによる発熱を抑える工夫も必要です。耐久性が高く、効率もよく、生体にやさしい――というような点で、質を上げなきゃいけないというのが、今の大きな課題です。
 
  現在、いろいろな企業や研究所と共同で「いかに浮かして回すか」という機構の部分に力を入れています。既に動物実験ができるテスト機は出来上がっているのですが、なかなか難しい。同じ形態の人工心臓の開発は、医療機器メーカーのテルモやアメリカでも行われていますが、茨城大は世界でもパイオニア的な研究施設です。
 
なぜ人工心臓が必要なのでしょうか。
 
  アメリカを例に説明しますと、全米に心不全患者は2〜6万人いるといわれています。そのうち、移植を受けられる患者さんは年間わずか2500人。病院に入院して移植を待っている患者さんは2万人と言われますから、心臓の数が圧倒的に足りない。人工心臓はそういう患者さんが生きるための技術といえます。
  また、移植手術を待つ患者さんの中には、手術までの期間、自分の心臓を残しながら補助的に人工心臓に使う患者さんもいます。「ブリッジ・ユース」というのですが、既に弱っている心臓をアシストするのにも、人工心臓が役立っているわけです。
 
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