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インタビュー:茨城大学工学部の教授たちの挑戦
 
 
 
先生が研究なさっている「次世代ULSI用配線材料」について教えてください。
 
研究室   LSIというのは、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサで構成される素子を、単結晶シリコン板の表面に組み込み、それらを金属膜配線でつないだものです。LSIはどんどん集積化することで性能が上がります。LSIのなかでも、素子が1000万個を超えるものを「ULSI」と呼びます。
  私の専門はLSIの配線です。配線の性能と信頼性は、そのままLSIの性能と信頼性になるといっても過言でありません。素子をつなぐ配線間の距離が微細であるほど、電子が素早くめぐり、LSIの性能は上がります。
 
  ところで、配線材料はいま銅が主流ですが、以前はアルミが使われていました。LSIを高速で動かすということは、電流をできるだけたくさん流すということ。しかしアルミは、電流を沢山流すと断線してしまうんです。なぜかつてはアルミが使われていたかというと、「プロセス・コンパチビリティー」といって、基盤のシリコンと相性がいいためです。しかし抵抗という点で限界が見えてしまった。その点、銅はアルミよりも抵抗が低く、それだけ効率アップが期待できます。
 
  しかし最近、微細化を図るだけでは、効率化に限界があるということがわかってきたんです。配線幅は狭い方が効率がいいわけですが、その距離が100ナノメートル(ナノ=1ミリの100万分の1)の領域になると、全く予想できないようなことが起こったんです。それは、「電子の散乱」という現象です。電子が散乱するために抵抗が上がり、効率が落ちてしまう。
  では、散乱を防ぐにはどうしたらいいか。散乱が起きるのは、銅の結晶粒の境目ということがわかっています。つまり、銅の結晶と結晶の境界である「粒界」付近が障害となり、そこを通る電子がぶつかることで散乱が起きるんです。
 
  解決方法は2つあって、銅の結晶粒を大きくしてやる方法が一つ。もう一つは電子ができるだけスムーズに粒界を通過できるよう、粒界部分の構造を工夫する方法です。原子の構造制御、もしくは粒界の制御という手法で、次世代の高性能ULSIを実現したいと考えています。
  世の中は配線の微細化によるLSIの効率アップは限度が見え始めたという説もあります。でも、私は解決方法があると信じていますし、実際にその打開策の可能性をつかみ、既に検証に入っています。
 
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