AI・ICT次世代広域応用教育研究センター セミナー
AI・ICT次世代広域応用教育研究センター セミナー
日時 | 2019年7月17日(水)17:00~18:00 |
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会場 | 茨城大学工学部 N4棟 小平記念ホール |
講師 | 茨城大学大学院理工学研究科・教授 鈴木 智也 先生 (大和証券投資信託委託(株)クウォンツ運用部 兼務) |
題目 | 「AIと資産運用 〜 人工知能AIはどこまで資産運用に役立つか」 |
概要 |
FinTechが台頭するように金融業務の多くは自動化可能であり,資産運用業務も例外ではありません.古くは1980年代よりアルゴリズム売買が始まり,執行アルゴによる効率化,HFTによるスピード競争,ロボアドバイザーによるマスカスタマイゼーション,そしてビッグデータと機械学習を活用したAI運用が誕生しました.AI運用以前はロボットによる自動化が本質であるため,成果を得やすい領域です.しかしAIにおいては期待が先行しやすく,実際のパフォーマンスは期待に追いついていないのが現状です. 過剰な期待の背景として,マスメディアがHFTや執行アルゴによる「自動化」と,AI運用における「知能化」を混同しており,一般市民を混乱させています.そこで本報告ではこれら一連の技術を整理し,実現事項と未実現事項を明らかにします.そして未実現事項については,何がボトルネックになっているのかを考察します. 知能化とは,データとコンピュータを用いて知覚(パーセプション)を再現することであり,主に統計学が介在します.近年の深層学習によって特に視覚と聴覚が発達し,画像やテキスト等の非数値データも扱えるようになりました.本報告ではこれらの具体例を紹介しますが,知覚において人間を上回ることは難しく,ブラックボックスの問題からもAI運用の妥当性は法的責任や受託者責任において極めてグレーであり,最終的には人間のファンドマネージャーによる判断が前提となっています.さらに人間にもフレーム問題が存在し,AIに与えるフレーム(説明変数)を広げるには経験やインセンティブが必要であることも紹介します. AI技術の成功事例の多くは囲碁のようにルールが明確であり,金融市場においてはこの限りではありません.その結果,AIが学べる法則性には限度があります.そこで改善策の一つとして集団学習法を紹介します.複数のAIを組合せて集合知を獲得することで,AI単体の知能を底上げします.さらに法則性が強まるほどAI集団の意見が一致する性質を利用して,有望な投資銘柄を動的に判断する方法を紹介します. |
※どなたでもご参加いただけます。
※予約・申込み等は不要です。
皆様お誘いあわせの上、ぜひご参加ください。