工学部・鈴木健仁講師の研究室が高屈折率無反射機能を実現するテラヘルツメタマテリアルの開発に成功
―産業応用化に向け、テラヘルツデバイスの超小型化・省エネ化が可能に
大学院理工学研究科電気電子工学専攻の石原功基さん(修士1年)、鈴木健仁講師らの研究グループは、高屈折率無反射構造を有するテラヘルツ波帯のメタマテリアルの開発に成功しました。8/27(木)、香港で開催されているテラヘルツ分野で世界最大級の国際会議IRMMW-THz 2015で石原さんが成果を報告します。2020年に開催される東京オリンピックに向け、テラヘルツ波の応用研究が積極的に推進されており、特にX線に代わる安全かつ高精度な可視化技術としてテラヘルツイメージングに注目が集まっています。
今回、実効屈折率neff=6.7+j0.12、反射電力1.2%(透過電力91.8%・損失電力7.0%)(0.31 THzでの値)を有する「高屈折率」「無反射」「低損失」材質の開発に成功しました。低損失かつフレキシブルなフィルムの裏表に金属の微細なワイヤー構造を描いた、非常にシンプルな構造により実現しています。テラヘルツ波帯での高屈折率材料の屈折率としてはポリエチレンの2.3やシリコンの3.4などが挙げられますが、今回開発した材質はこれらのおよそ2~3倍となる6.7という極めて高い屈折率を実現しています。通常の自然界由来の材料ではこのような高い屈折率は実現できず、仮に実現したとしても54.8%もの反射が起きてしまいます。また、屈折率の実部と虚部の比で表せる性能指数においても、最高で314(0.29 THzでの値)を確認しています。これまでに性能指数が高い「高屈折率」「低損失」なテラヘルツメタマテリアルは報告されていましたが、反射電力が大きく、多くの電磁波を損失していました。
今回さらに産業応用化に向け、厚さが波長の1/20の50マイクロメートルと極めて薄くフレキシブルである特長を活かし、極めて薄いレンズへの応用の可能性も明らかにしました。
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高屈折率無反射機能を実現する テラヘルツメタマテリアル |
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工学部鈴木健仁研究室