工学部マテリアル工学科4年(現:修士1年)の橋本さん、日本金属学会第26回優秀ポスター賞を受賞
工学部マテリアル工学科(現:理工学研究科量子線科学専攻1年西研究室所属)の橋本康孝さんが、2016年3月23日、東京理科大学葛飾キャンパスで開催された日本金属学会2016年春期大会において、第26回優秀ポスター賞を受賞しました。この賞は、大会中に行われたポスターセッション発表者を対象に表彰されるものです。学部4年での受賞は全国の大学の中でも数少ない快挙です。

優秀ポスター賞の賞状を手にする橋本さん(右)と西剛史准教授
【タイトル】
鉛フリーはんだの粘性測定システムの開発
【概要】
鉛フリーはんだの大量生産プロセスを確立するためには、粘性の実測データが必要です。しかし、はんだは溶融時に表面に酸化被膜を形成するため、溶融金属の文献値よりも高い値しか得られていませんでした。本研究では、これらの酸化被膜の形成を除去できる新たな粘性測定システムを開発し、鉛フリーはんだの粘性を系統的に測定しました。具体的には、粘性計をグローブボックス内に設置し、酸化被膜を形成しない還元ガスフローの状態で粘性測定を実施しました。測定システムの検証のため、従来はんだの粘性を測定したところ、文献値よりも若干低めの値が得られ、はんだの粘性測定に十分な測定環境が得られました。さらに、数種類のSn-Ag-Cuはんだの粘性を測定したところ、いずれも負の温度依存性を示し、Sn-0.3wt.%Ag-0.7wt.%Cuが従来はんだの粘性に一番近いという新たな知見を得ることに成功しました。

研究者にポスター発表する橋本さん
橋本康孝さんのコメント
この度は、日本金属学会2016年春期大会おいて、優秀ポスター賞を受賞できたこと、大変光栄に思っています。私は鉛フリーはんだの粘性測定システムの開発を研究テーマとして1年間行ってきました。このシステムで粘度測定が達成できたことにより、鉛フリーはんだの材料設計に必要な熱流動解析が可能となり、大量生産などの材料プロセスが飛躍的に向上していくことを期待しています。今回の受賞は、指導教員である西剛史先生、太田弘道先生の熱心なご指導や、研究室の仲間に支えられたおかげです。心より感謝しています。大学院でもこの受賞を励みに、研究に取り組みたいと思います。