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インタビュー:茨城大学工学部の教授たちの挑戦
 
 
 
人工心臓
磁気浮上型人工心臓
 
再生医療に関連する研究について教えてください。
 
  「ナノバイブレーションによる細胞機能制御に関する研究」というのを行っています。細胞に、ナノメートル(10のマイナス12乗メートル)オーダーの可聴域――最高でもおよそ10kHz――の機械的な微小振動を加えると、細胞の増殖したり、くっついたりする機能を増幅できるんです。実は、なぜそんなことが起こるかはよくわからないんですが(笑)。しかし、この研究を進めていくと、細胞機能が制御できるかもしれない。
 
  なぜこんな開発をするか、その背景について少しお話しますと、人工心臓は機械で心臓の機能を代替するものですが、その一歩先を行く考え方として、自分の心臓を作ってしまおうという考え方があるわけです。これが、いわゆる再生医療ですね。とはいっても、今はまだごく初期段階です。ようやく皮膚ができるようになった段階で、組織も血管もまだまだです。でも将来的には、組織ができ、分化の技術が進めば、人工的に心臓を作れるかもしれない。
 
  そういう未来を見据えて、再生医療の分野を手助けする工学技術も必要だろうと考えているわけです。細胞を使い、新たに人の臓器を作る技術に、工学技術はなくてはならないでしょう。
 
その他どんな研究開発を行っているのですか。
 
  「現在、企業とタイアップで「自動培養装置」の開発をしています。実験などに使う細胞は、現在、人間が培養しているわけですが、それを機械で自動化しようと。つまり細胞生産を自動化する機械ですね。自動化すると,人に付着したバイ菌の細胞への感染問題が避けられますし、培養の均一化も図れます。
 
  もう一つは、生体組織どうしをくっつける「細胞融着装置」の研究。これは超音波メスの応用です。超音波メスは、人の生体組織を摩擦熱で切るわけですが、それをうまく使うと、血管と血管など,生体組織同士をくっつけることができるんです。
  組織のコラーゲンは、熱を加えるとコロイド状になります。ゆで卵を作るとき、白味が半熟状に固まりはじめたような、あのドロドロの状態――これがコロイド状ですね。この状態にして組織を接触面で混ぜ合わせて冷やし、つけてしまうんです。
 
  ただし、超音波メスというのは、小さい部分にエネルギーが沢山入るので、くっつくのを通り過ぎて焼け焦げてしまう。そこが難しい。なので、もっと低いエネルギーの振動と熱、さらに良くくっつけるための圧力という、3つの小さなエネルギーを複合し、生体組織同士を融着させる医療機器を開発しています。
  この機器が完成すれば、現在、人が鍼で縫い合わせる血管と血管の縫合や止血処理がより確実で簡単になるでしょう。
細胞融着装置
研究改良が進められている細胞融着装置
 
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